事業体の選択
起業とはまさに事業を起こすことですから事業を起こす「器」を選択しなければなりません。どうようのな「器」で起業するかはあなたが経営者として最初に下す意思決定かもしれませんが、その後の事業の成長に影響する重大な選択となります。
1.個人事業か法人か
あなたが起業をする際、法人の設立を考えているのであれば、あなたがやろうとしている事業に最初から法人が必要であるかどうかもう一度あなた自身に問いかけてみてください。取引先が法人でなければ取引できないと言っている、すぐに大量の採用を予定している法人でなければできない理由は意外なほど思いつかないものです。
社会的信用が違うとよく言われますが、まったく関係ないとは言えませんが個人事業でも法人でも事業が成長していかなければ結局は信用も育たないのです。「どうせ起業するなら法人で」という気持ちはよく分かりますが、法人は設立するにも維持するにもある程度の手間と費用を覚悟しなければなりません。会社法の施行により法人設立が簡単になった今だからこそ、まずは個人事業でスタートし、ある程度事業が軌道に乗った段階で法人にというくらい地に足のついた起業が望ましいと思うのです。
2.物的会社か人的会社か
最近LLP(有限責任事業組合)やLLC(合同会社)を使っての起業が盛んに行われています。これらの事業体は、出資者と事業者が分離していない点が特徴で人的組織と呼ばれます。これに対して株式会社は出資者と事業者が分離しているため物的組織と呼ばれます。それでは、あなたがLLPやLLCの人的組織を選択すべきなのはどのような場合でしょうか。
物的組織の特徴として、@設立が比較的簡便である、A内部機関の設計等に自由度が高い、B出資額に比例しない分配が認められている、の3点がよくあげられています。ただ、@については、株式会社の設立手続も相当に簡便化されましたので、大きなメリットとは言えなくなりました。Aについては、自由度が高いことはかえって不自由な場合も多いというのが私の感想です。
会社法では株式会社に幅広い内部機関の設計を選択できますが、LLPやLLCでは何も決められていませんから、出資者がしっかり考えて一から作っていかなければなりません。Bことが人的会社の本質からくる特徴で、この特徴をメリットとして生かせる場合にのみ人的会社は選択されるべきだと思います。具体的には、企業と大学といったように異なる立場から異なる原資を出資して事業に関わる複数の出資者が存在するような場合で、特に文化・芸術の分野での起業には適していると思います。